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【事例紹介】心の赴くままに働く。アメリカ⇒福岡へ3weekワーケーション!
働き方の選択肢が多様化する中、海外居住者が日本でワーケーションをする動きも広がりつつあります。今回ご紹介する藤丸さんはアメリカ・アイオワ州在住。福岡出身で高校卒業後渡米し、大学院に進学後は現地企業に就職。そしてこのたび、家族3人で里帰りも兼ねたワーケーションを福岡で実施されました。国を超えた福岡でのワーケーション体験談。ぜひご覧ください。
福岡でのワーケーションのきっかけ
―福岡に戻ってこられたのはいつぶりですか?
昨年の8月以来です。昨年の帰国は娘と二人、2週間ほどと短いものでした。日本の幼稚園や保育園に通わせてみたいと考えていたのですが、コロナ禍で断念して。今年娘が小学生になり、本人の意思もあったため、こちらの小学校に通わせながら家族3人で滞在できる場所探しを始めました。 最初は大きな都市がいいかと東京なども見ていましたが、土地勘がなく分からないことが多すぎて。そうした時に、福岡市にワーケーションの推進部門があるということを知り、ダメ元でメールを送りました。 もともと短期滞在のアパートやマンションを自力で探していたのですが、自分で探すには限界を感じていたんです。結果的に、私たちにとって最良なホテルをご紹介いただきました。立地はいいですし、リモートワークするためのスペースもあって、キッチンや洗濯機といった生活に必要な設備も整っていて申し分ありません。また、体験入学が可能な小学校もご紹介いただいて。学校も快く受け入れてくださり、本当に感謝しています。
アメリカ式“Work life balance”を実践
―そもそも会社では、いつからワーケーションが可能だったのですか?
約1年半前からですね。アメリカでは“Workation”という言葉は浸透しておらず、“Work life balance”や“Work life flexibility”という言い方が一般的です。当社では、心の赴くまま、ライフスタイルやニーズに合った働き方をしましょうという文化が醸成されていました。 ただ同僚の間では、これは本社勤務の人向けの働き方なんじゃないかという思いもあって。私は食品工場で品質管理の仕事をしており、現場ベースの業務ですから、そうした働き方は難しいのではないかと感じていました。でも、同じ会社で働いている人間なのですから、私たちにとっても有益な制度であるべき。じゃあ改めて自分にとって「心の赴くまま、ライフスタイルやニーズに合った働き方」とは何かと考えた時に、「日本に長期滞在して娘を日本の学校に通わせたい」という希望を実現できないかと考えたんです。
―現場勤務の方がこうした働き方をされるのは珍しかったのでは?
おそらく私が初めてじゃないでしょうか。制度としては、年間30日間だけメインオフィス以外の場所で仕事をしていいというものがあります。なので上司やチームと調整し、有給を10日間と、リモートワーク許可を20日分取得して今回日本に来ました。滞在中、最後の一週間は名古屋、東京に滞在しますが、丸3週間を福岡でワーケーションした形です。
福岡は歩くのにいい街
―こちらでの生活はどんな風に?
基本的に朝8時過ぎに娘を小学校へ送り、14時45分にお迎えに行くのは固定です。ただ時差の関係で仕事は夜に集中して行うため、朝数時間仕事をすればあとは自由時間です。夫はアメリカで短大の講師をしていますが、学校がちょうど夏休みの期間なのでフリー。昼間は二人で色々なところへ行きました。 福岡は街がコンパクトでいいですね。アメリカは基本どこへ行くにも車移動なので、街を歩くということがあまりありません。その点、こちらはホテルを出て徒歩10~15分で駅や目的地に着ける。歩ける街というのは健康的で嬉しく、私にとっても新鮮に感じられました。 夫も福岡を絶賛しています。ご紹介いただいた滞在先のホテルの快適さ、交通機関へのアクセスの良さ、コンビニもたくさんあって、全く不便を感じることなく快適に過ごせているようです。
―福岡のどんなところへ行かれましたか?
ホテルから近い西新や天神、博多あたりは行きました。家族の住む小郡市や、知人の故郷であるみやま市を訪ねたりも。夫は神社仏閣が好きなので、博多周辺の櫛田神社や東長寺なんかに足を運んでいたみたいです。あと大濠公園が、ニューヨークのセントラルパークっぽくていいねと。もちろん規模は違いますが、街並みを見ながら自然の中でゆっくり過ごせました。
福岡でワーケーションする魅力って?
―日本、そして福岡でワーケーションをする魅力を教えてください。
アメリカと比較して日本は生活する上でのコストが低いのが大きな魅力です。外食価格の安さに、夫は毎回びっくりしています。例えば、アメリカのレストランで二人でランチすると、チップ込みで40ドル近くかかってしまいますが、日本では2000円くらいあれば大丈夫。コストパフォーマンスが素晴らしいです。まさに円安のおかげですよね。スーパー、パン屋、レストランと食の選択肢も多い。お惣菜文化もアメリカにはない素晴らしいものですね。 あと福岡はとにかく滞在費用が安い。宿泊費も東京と比べると随分と安いので、固定費をいかに抑えるかが重要な長期滞在者にとって、大きなメリットです。街はコンパクトでちょうどいいサイズだし海も近い。交通網も充実していて、土地勘がない人でもスマホさえあれば色々なところにアクセスでき、動きやすいです。
―こんなことがあったらいいなと思うことはありましたか?
コワーキングスペースに求めるのは設備の充実ですね。ラップトップPCのスクリーンだと小さいので、長期でストレスなく仕事するならモニターがあると助かります。カフェのWi-Fiは接続が弱いこともあって、特に海外企業のシステムとつなぐ際に困るので、その辺も改善されたら。願わくば、同じようにワーケーションで福岡に滞在している人と知り合う場もあればいいなと思いました。
次もまた福岡に戻ってきたい
―率直に、今回の体験を通して感じたことは。
私はトータルで1日8時間働きましたが、アメリカと時差が14時間あるため、現地に合わせて21時から3時くらいまで働いていたんです。少しだけ睡眠をとり7時には起きるというスケジュールだったので、体に負担がかかったなとは感じています。これがさらに長期となると、ちょっとつらいかもしれませんね。 一番良かったのは、やはり「日本に住む」という経験ができたことです。落ち着いて部屋で料理できたり、仕事したり、ランチを食べに行ったり。娘を小学校に通わせられたことも本当にありがたくて。私自身福岡の街の魅力を再発見できましたし、夫も「来年もまた福岡に戻ってきて、もう少し長く滞在したいな」と話しています。 今回できなかったことは旅行です。次もっと長くいられるのであれば、福岡を拠点に九州各県や韓国にも足を伸ばしてみたいですね。アメリカに戻ったら早速、来年に向けて話を進めていきたいと思っています。
取材を通して、福岡に長期滞在のポテンシャルがあること、そしてインバウンドにも様々な形があり、そのニーズに対応していく重要性を感じました。今後もこうした声を受け止めながら、福岡市はより良いワーケーション施策を遂行していきたいと思います。